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●白治体とボランティアのパートナーシップをつくるには
田中 ありがとうございました。それでは本論に入りますが、「自治体とボランティアとのパートナーシップ」というテーマを掲げました。こういうテーマはたぶん、私どもが今回企画したのが初めてのことだと思います。日本には3300程の自治体がありますが、こういうことをまじめに考えている自治体は全国に100もないと思います。宮城県は県を始め市町村も一生懸命考えておられ、大変進んでいると思います。というのは行政サイドから言うと、ボランティアの人というのは、ご婦人方でワーワーとしゃべる人がときどき風のごとく飛んできてまくし立ててはサーッといなくなり、率直に言ってどのように付き合ったらいいか分からないという存在なのです、ですから自治体側から言えば、なるべく来てほしくない存在ですし、それは社協が担当しているということで社協におしつけてしまいます。杜協はボランティアを送り出す存在でもあるわけです。
今日は自治体関係者の方が大勢ご参加されていますので、自治体とボランティアにっいていろいろ考えていきたいと思います。これからボランティアを活用しない自治体というのは発展性がなく、そこに住む人たちにとっても魅力のない自治体になると思います。これは非常に簡単な話でして、私ども住民・市民・町民のニーズはどんどん高まる一方、予算上の歳入のほうはそう大きくなりません。これははっきりしております。そうしますと福祉および行政サービスニーズをたくさんやらざるを得ないが、予算上それが不可能ということになっていきます。その際に市民・住民相互の助け合いだとかボランタリーの参加を得られないような町・市は大変な不満が住民のなかに起こってくるということになるわけです。従って自治体の方はボランティアについて是非注目してほしいし、支援をしてほしいというのが、今回のテーマの設定の1つの目的です。
もう1つは、ボランティア側がいかにも力が弱い、力がないわけです。ですからボランティア側はどのようにして力をつけていくかということをきちんと学はなければ、パートナーとして組めません。自治体にいろいろ注文や要求を出しても、自治体は力のない団体を相手に出来ません。アナ・ミヤレスさんのお話の中にありましたように、団体のマネージメントをしっかりとして、社会的な課題に対して対応できる力をつけていかなければならないと思います。現状の多くのボランティア団体の年間予算は100万円以下というところが9割以上です。年間100万円以下の予算ということがどういうことか簡単に言いますと、専用の事務所をもっていない、給料をもらっているプロフェッショナルな職員がいないということです。給料を払う人をボランティア団体に置くのかとお考えになるかもしれませんが、持続的にしっかりとした活動をしていく上には必ず専任の職員の方が必要です。専任スタッフがいないボランティア団体は発展しません。そのためにはお金が必要であり、ボランティアの人材をリクルートしてくる、どんどんボランティアに参加する人を浅野知事が話されていたようにうまく引き寄せて足抜けできないようにしていくという構図をどう作っていくかということを、ボランティア団体自身が担わなければならないわけです。そのような力をもったときに初めてパートナーになれるわけで、ボランティア団体の側がマネージメント能力をもつという課題に挑戦していかなければなりません。そうしない限り、宮城県の未来、皆さん方の住んでいる町の未来は、あまり明るいものにならないと思います。そのような問題意識でこれから議論を進めていきたいと思います。

 

 

 

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